宇和島闘牛が魅せる
思いやりが支える勝負の世界

ー闘牛は全国(6県10ヵ町村)にあるものですが、『宇和島闘牛』ならではや自慢できるのはどのような点でしょうか?

 

曽根:宇和島闘牛の牛たちは化粧回しや内掛け、首飾りをして華やかにしとるね。

 

事務局:一式構えると、何十万円、何百万円するんよなぁ。これは宇和島地方独特のものなんよ。

 

亀山:牛が土俵に登場するときの「出せよ、出せよ」の呼びかけも独特で全国に誇れるなぁ。

 

上甲:勢子のつきかたもな、今と昔では変わってきてるんじゃが、宇和島独特のは牛の横にぴったり付くんよ。実際に試合を見てもらうと、これは迫力があるわ。

 

曽根:牛により接近して攻撃の間合いなんかを勢子が充分に感じられる付きかたでなぁ。

 

事務局:この付きかたは牛に近い分、勢子は常に危険と隣り合わせよ。

▲華やかに彩られた宇和島闘牛の牛

▲人牛一体となって闘いを繰り広げる


亀山:危険が伴うからこそ、より人牛一体となって勇壮な戦いぶりを見せてくれるわなぁ。
あとね、全国でも宇和島闘牛だけは負けた牛のほうがより多くの給金をもらえるんよ。これは宇和島闘牛の中でも特に自慢できるところやね。

▲座談会の様子

負けたほうが給金を多く貰えるのですか?勝負の世界ではめずらしいシステムですね。

亀山:負けてしまった牛の方が、より多く傷付くよね。人も牛もつらい気持ちになる。勝負でより傷付いたものに手を差し伸ばしたいと考えるのが、宇和島の人情なんよ。

勝った牛には名誉を、負けた牛には少しでも多くの給金を渡すことで思いやりの気持ちを表してるんやね。

 

この「思いやりの気持ち」は、宇和島闘牛が無形民族文化財に選択されたときも特に高く評価してもらっとる点なんよ。

 

勝負の世界は「勝った方が多く貰える」のが当然の風潮がある。それが今の時代にはあってるかもしれんけど、宇和島闘牛にある「敗者を思いやる」気持ちに誇りを持ってこれからも闘牛を伝えていきたいね。

▲宇和島観光闘牛協会会長の亀山充孝さん


「宇和島闘牛の自慢ならつきない」とばかりに座談会は盛り上がり、話は心に残る名試合へと進んでいきます。

 


【闘牛を愛する男たちの座談会 バックナンバー】

第1回:宇和島闘牛が魅せる  思いやりが支える勝負の世界

第2回:心に残る牛たちの闘い  言い尽くせない宇和島闘牛の名牛

第3回:人と牛が共に盛り上げる  宇和島闘牛舞台裏